パ・ド・ドゥ

カプリスの発表会では、各生徒さんが自分で踊りたいと思ったバリエーションを出来るだけ自由に選んでいただいています。先生から与えられたものを踊るより、これがやりたいと思って自分で選んだ方が頑張れるし、やりがいがあると思うからです。ちょっと難しい事にも敢えてチャレンジして貰っています。もちろんこの人のレベルではまだ無理そうなものは簡単にアレンジしたり、他のバリエーションをおすすめしています。


そしてレベルが上がって来たなと思う人にはパ・ド・ドゥ(男性ダンサーとのアダジオ等の踊り)にもチャレンジしていただいてます。


ひと昔前はパ・ド・ドゥを踊れる人は、子供の頃からバレエを習って、その教室でずっと続けて頑張って来て上手になって、大人体型になったくらいからやっと踊らせてもらえる、同じ年代でも踊らせてもらえず終わる人も多くいました。

大人からバレエを習う人がパ・ド・ドゥを組むのは論外、バリエーション(ソロ)を踊るのさえあまりなかったと思います。


今の時代は大人からのバレエが浸透して、トウシューズで立てるようになれば、パ・ド・ドゥも夢ではなくなりました。男性ダンサーもそういった大人バレエの人にも優しく指導して下さいます。


良い事なのかも知れませんが、何となく少し違和感も感じずにはいられないのも本音です。

「グランフェッテが32回、回れない人はパ・ド・ドゥは踊れません」と言われて育った私からすると簡単にやりたい事を手に入れ過ぎな気がするのです。


バレエ教室も男性ダンサーもお仕事ですからギャラをいただいて踊って下さる女性の方にはありがたいと思います。


カプリスでは、大人から始めた人でも夢は諦めずいつかグランパ・ド・ドゥを踊れるくらいになって欲しいと思い日々レッスンしています。

それと共に、主役の踊りを踊る為に必要なこと、

バレエへの情熱、周りの人達への配慮、信頼関係があること、主役の責任を持てる人、日々のレッスンを地道に続けられる、そういった事もわかっていただきたいのです。


大人から始めても頑張れば出来る事、けれどもその夢は簡単には手に入らない、だからこそバレエが素晴らしい、大変だからこそそこへ向かう事が楽しいと知って欲しい。


発表会ではバレエコンサートの他に、幕物の作品をみんなで作ります。バレエのマイム、様々な役柄、コールドバレエが揃った時の感動、バリエーションやパ・ド・ドゥ以外に魅力的なものが沢山あるので、そんなバレエの素晴らしい舞台を沢山経験して欲しいと思い、役を決めたり、合わせて練習するのは大変ですが、毎年続けています。


厳しいけど明るい、苦しいけど楽しい、道は遠いけど夢を諦めず頑張れる事が素敵なのではないでしょうか。